ヴァイヨン/Vaillons,旗印となるクリマ/CLIMAT

Prononciation - Chablis Premier Cru Vaillons  Prononciation - Chablis Premier Cru Vaillons

シャブリ・プルミエ・クリュ・ヴァイヨン/Chablis Premier Cru Vaillons 

このシャブリ・プルミエ・クリュ/ Chablis Premier Cruのクリマ/ Climatの名前は、ラテン語のvallisから来ており、ヴァイヨン/ Vaillonsは、「小さな谷」を意味します。

 

代表的なクリマ/ Climatであるヴァイヨン/ Vaillonsは、近隣のクリマ/ Climatと共に129haをカバーし、シャブリ・プルミエ・クリュ/ Chablis Premier Cruのアペラシオンの中では最も広いものの一つです。その代表的なもとに、8つのクリマ/ Climatsが集まっています。レ・リス/ Les Lys、セシェ/ Sécher、ヴァイヨン/ Vaillons、シャタン/ Chatainsそしてブニョン/ Beugnonsは、丘の上部を占めています。一方、レ・ゼピノット/ Les Epinottes、ロンシエール/ Roncièresそしてメリノ/ Mélinotsは、丘の下部を占めています。ヴァイヨン/ Vaillonsは、南/東向きで、特に朝の日照を受けます。あまり深くない土壌により、ぶどうは早く熟すことができます。土壌は、キンメリジャンの石灰岩が集中していて、場所によりとても密度の高い板石です。

ヴァイヨン/Vaillons,旗印となるクリマ/CLIMAT

特徴,歴史と伝説

  • 左岸に位置するヴァイヨン/ Vaillonsは、先駆者と見なされています。実際、セラン川の左岸で最初にシャブリ・プルミエ・クリュ/ Chablis Premier Cruに格付けされたクリマ/ Climatの一つです。表土の粘土に粘着性があり、畑作業が難しいことで有名で、このクリマ/ Climatは、最高のものを生み出すためには制御する必要があります。グラスの中で、抑えられたバランス、強烈なアロマ、エレガンス、ミネラルの張りと、その結果は決定的です。すべての要素が、ヴァイヨン/ Vaillonsを偉大なシャブリ/ Chablisにしています。2~3年後には、すでにとても表情豊かになりますが、その後数年を経て、複雑さが増します。
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  • この語源を説明するためには、ラテン語に立ち戻らなければなりません。語源的には、vallisあるいはvallesは「2つのエリアの間に広がる場所」を意味します。1429年の文書には、« Valion »と綴られています。ヴァイヨン/ Vaillonsの名前を与えたのは、結局、この小さな谷という概念です。

シャタン/Chatains

シャタン/Chatains

Prononciation - Chablis Premier Cru Vaillons    Prononciation - Chablis Premier Cru Vaillons

シャブリ・プルミエ・クリュ・シャタン/Chablis Premier Cru Chatains

このシャブリ・プルミエ・クリュ/ Chablis Premier Cru は、栗の実(châtaignes)の色を思い出させる褐色の土地が特徴です。

 

ヴァイヨン/ Vaillonsは、シャブリ/Chablisの代表的なクリマ/ Climat の中でも、最も多くの付随するクリマ/ Climatsを包含しています。この代表的なクリマ/ Climatの上方の列に位置するシャタン/ Chatainsは、ヴァイヨン/ Vaillonsのクリマ/ Climatの両側に広がりますが、ヴァイヨン/ Vaillonsの上部に沿って伸びる狭い地帯のおかげで、統一性を保っています。それは、ヴァイヨン/ Vaillonsを両側から抱擁しているようです! 丘の上部に位置していて、主に南/東向きです。朝日を受けますが、あまり深くない土壌のおかげで、早く熟すことができるという、ぶどうには好条件のテロワール/ terroirです。キンメリジャンの石灰質が土壌に頻繁に現れ、場所により、粘着性のある粘土で覆われています。

特徴,歴史と伝説

  • ヴァイヨン/ Vaillonsの代表的なもとにまとめられているワインは、シャブリ・プルミエ・クリュ/ Chablis Premier Cruのワインの象徴的なものです。近隣と同様、シャタン/ Chatainsは、完璧なバランスを持っています。まっすぐで堅固で、かといってあまりに筋肉質でもなく、また敏感ですが攻撃的ということはなく、まろやかで、繊細で、かといってあまりにオイリーになることは全くありません。
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  • シャタン/ Chatainsの名前の語源を説明する思いつきの仮説の中で、時折、栗の木に言及しているものがあります。シャブリ/Chablisの人々の記憶では、シャブリ/Chablisに栗の木があったことはありません。土壌があまりに石灰質が多いからです!シャタン/ Chatainsの土の色に言及する説の方が、より信頼できるようです。実際、シャタン/ Chatainsは、台地が崩れてできた褐色の土地ですぐに見分けがつきます。地質からの説明が良いようです!

ブニョン/Beugnon

Prononciation - Climat Beugnons    Prononciation Climat Beugnons

シャブリ・プルミエ・クリュ・ブニョン/Chablis Premier Cru Beugnons

引き抜いた木の切り株か泉か?シャブリ・プルミエ・クリュ/Chablis Premier Cruのこのクリマ/ Climatの名前の説明には、2の語源が交差しています。

 

左岸で、代表的なクリマ/ Climatであるヴァイヨン/ Vaillonsのきわめて高い場所に位置するブニョン/ Beugnonsはリズムを与えてくれます!実際、収穫が始まるのは一般的に、この場所からです。南/東向きで中程度~急な斜面のブニョン/ Beugnons、暑く、早熟のテロワール/ terroirです。シャブリ/Chablisの特殊性そのままに、土壌は、キンメリジャンの泥灰岩です。この泥灰岩の上に、層は厚くないですが、雨の時にはかなり粘着性が生じる粘土層が広がっています。また、石灰岩が崩れ落ちた堆積層が多くあり、著しい水分不足を引き起こします。

ブニョン/Beugnon

特徴,歴史と伝説 

  • 魅力的で、時に誘惑するようなブニョン/ Beugnonsには、暑いテロワール/ terroirという特徴があります。十分な論拠があることを申し上げなければなりません。注目すべきアロマ豊かな力強さ、とても滑らかであること、そして繊細なミネラル感です。熱意にあふれたシャブリ・プルミエ・クリュ・ブニョン/Chablis Premier Cru Beugnonsは、若いうちから飲みやすいです。5~7年後には容易に、その個性の他の側面を見せてくれます。
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  • 私たちの祖先であるガリア人がおそらく、このクリマ/ Climatの歴史に、ある役割を果たしたのでしょう。« bugna », « bignon », « buignon »という言葉は当時、木の幹や、引き抜いた木の切り株を意味していました。ブニョン/ Beugnonsの始まりは、12世紀の大開墾時代にあるのでしょう。他の仮説は、« bugnon »を、昔の泉の名前とするものです。実際、ポンティニィ修道院が所有する1705年の地図で、この場所まで伸びている道に泉があることが分かります。覚えておいたほうがいのは、おそらく、ガリアを起源とする「泉 < source >」という言葉でしょう。

メリノ/Mélinots

メリノ/Mélinots

Prononciation Climat Mélinots    Prononciation Climat Mélinots

シャブリ・プルミエ・クリュ・メリノ/Chablis Premier Cru Mélinots

シャブリ・プルミエ・クリュ/Chablis Premier Cruのこのクリマ/ Climatの名前はおそらく、« Mélin »あるいは« Méline »といった昔の一族に由来するのでしょう。

 

メリノ/ Mélinotsは1978年に、代表的なクリマ/ Climatであるヴァイヨン/ Vaillonsの管轄下になりました。セラン川からは遠ざかりますが、丘の下部に控えめに位置し、南/東向きと、シャブリ/Chablisの典型的な土壌の恩恵を受けています。この場所では、キンメリジャンの泥灰岩と、小さな牡蠣の化石-有名なエグゾジラ・ヴィルギュラ(Exogyra virgula)―が多く見られます。表土には、粘着性のある粘土層があり、湿気が多い時には、作業が大変です。

特徴,歴史と伝説 

  • メリノ/ Mélinotsは、中心から離れたところにありますが、どんなものかは知られています。ワインはとても表情豊かで、果実味豊かな、アロマの程よい強さを持っています。傑出したミネラル感の張りが、ワインにエレガンスと繊細をもたらします。試飲するまでには忍耐が必要です。その複雑さが余すところなく現れるには2~3年待つ必要があります。その熟成能力により、6~8年待てます。
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  • かつてぶどう栽培者たちは、収穫前夜に、小石でいっぱいにした鉄箱を備えた小さな風車を置いいていました、これは休みなく動き、その音が、食いしん坊の穴熊をぶどう畑から遠ざけるのです! メリノ/ Mélinotsは、小さな風車を意味する« moulinot »からその名前を借りてきたのでしょう。他の仮説も主張されています。中世、ぶどう栽培農家の一族の名前が、« Mélin » « Méline »だったというものです。メリノ/ Mélinotsは、この場所にぶどう畑を所有していたMélin家の子供たちに与えられた、あだ名であったのでしょう。

ロンシェール/Roncières

Prononciation - Climat Roncières    Prononciation - Climat Roncières

シャブリ・プルミエ・クリュ・ロンシエール/Chablis Premier Cru Roncières 

シャブリ・プルミエ・クリュ/Chablis Premier Cruのこのクリマ/ Climatの名前は、語源は明らかです。単純に、ぶどうが植えられる前にこの場所を占めていた茨(ronces)から来たのです。

 

セラン川左岸に位置するロンシエール/ Roncièresは、代表的なクリマ/ Climat、ヴァイヨン/ Vaillonsのグループに属しています。丘陵の下部に位置し、ヴァルヴァン/ Valvan渓谷に沿って優雅に伸び、レ・ゼピノット/ les Epinottesの延長上にあります。南/東に向いているおかげで、朝日の恩恵を受けています。隣のクリマ/ Climatと同様、その土壌には、キンメリジャンの泥灰岩がかなり多く存在しています。特別なサイン? 雨の後、表面の粘土が粘着質になります。

ロンシェール/Roncières

特徴,歴史と伝説

  • ヴァイヨン/ Vaillonsの旗のもとに集まるクリマ/ Climats は、共通点もいくつかありながら、それぞれが個性を見せています。それこそが、シャブリ/ Chablisの力となるものです。一つのテロワール/ terroir、一つの品種、しかし発見に値する多くのクリマ/ Climatがあるのです! ロンシエール/ Roncièresは、とろりとして繊細なテクスチャ―が、抑えられた敏感さと釣り合いを取っています。この場所のワインはそれなりに、ヴァイヨン/ Vaillonsの典型です。
  • ロンシエール/ Roncièresは、1429年にすでに、現在のように表記されていました。この名前には、議論の余地のない由来があります。この場所に多くあった茨(ronces)が、景観の一部となっていました。茨はあまりに多く、まさに茂みとなっていました。このため茨に取って代わったぶどうが、その名前を借りたのです。

セシェ/Sécher

セシェ/Sécher

Prononciation - Climat Sécher    Prononciation - Climat Sécher


シャブリ・プルミエ・クリュ・セシェ/Chablis Premier Cru Sécher

「切られるだろう」という意味の後期ラテン語のsecabilisから、かつて森で覆われたこの丘が、明らかに開墾され、断片に分けられたのでしょう。

 

まず、セシェ/ Sécherは、その代表的なクリマ/ Climatであるヴァイヨン/ Vaillonsとよく混同されるようです。セラン川の左岸に位置し、セシェ/ Sécherは、ヴァイヨン/ Vaillonsからの延長で、同じく東/南東向きです。朝日を浴びることと、風通しが良いために、ぶどうはゆっくりと、しかし確かに熟すことができます。土壌は、キンメリジャンの泥灰岩が少なめで、至るところに白い粘土質が見られます。この土壌はあまり深くなく、肥沃でもなく、水はけが良いという利点があります。

特徴,歴史と伝説

  • セシェ/ Sécherの丘は、難しいということで有名です。肥沃ではなく不毛の土壌と、自然の涼しさのために、ぶどうは時間を必要とするからです。このゆっくりとした熟し方が、ワインにも見て取れます。とても小石の多いミネラル感があり、果実味と花のようなアクセントがあります。まず、味わいの力強さと長さが表れ、その後に素晴らしい純粋さが現れてきます。張りが良く、自然の爽やかさを持つセシェ/ Sécherは、良く熟成するための要素を持っています。約10年かそれ以上の熟成の可能性が見込まれます。
  • セシェ/ Sécherは、12世紀の大開墾の前は、明らかに森で完全に覆われた丘だったのでしょう。その名前は、「切られるだろう」という意味の後期ラテン語のsecabilisと関連していると考えられます。1267年のトゥールのサン・マルタン教会参事会の古文書で、「sichiという名前の場所にある1/2アルパン(農地面積の旧単位。1アルパン=およそ0.5 ha)  のぶどう畑」という意味の  « dimidum arpentum vinee in loco qui dicitur sichi » という文章の一部が読み取れます。

レ・ゼピノット/Les Epinottes

Prononciation - Chablis Premier Cru Les Epinottes    Prononciation - Chablis Premier Cru Les Epinottes

シャブリ・プルミエ・クリュ・レ・ゼピノット/ Chablis Premier Cru Les Epinottes 

茨のことか、とげか、ハリネズミか、いずれにせよシャブリ・プルミエ・クリュ/Chablis Premier Cruのこのクリマ/ Climatの名前は、かならず「とげ」にまつわるものなのです! 

 

左岸にある代表的なクリマ/ Climat、ヴァイヨン/ Vaillonsは8つのクリマ/ Climatsを包含しています。レ・ゼピノット/ les Epinottesもその一つです。セラン渓谷にあるシャブリ/ Chablisのコミューンの近くにひっそりとたたずむレ・ゼピノット/ les Epinottesは、ヴァルヴァン/ Valvan渓谷の丘の下部に広がっています。南/東に向き、朝日の恩恵を受けています。この場所では、キンメリジャンの泥灰岩が大部分で、表土は主に粘土で構成されています。特に雨の後、この粘土がとても粘着質になると、生産者は苦労します。

レ・ゼピノット/Les Epinottes

特徴,歴史と伝説

  • レ・ゼピノット/ les Epinottesは、代表的なクリマ/ Climat、ヴァイヨン/ Vaillonsのもとで統合されている8つのクリマ/ Climatsの中で最大です。敏感ですが、鋭いことはなく、堅固ですが、あまりに筋肉質というわけではなく、とろりとしていますが、あまりにオイリーということはなく、このクリマ/ Climatからのシャブリ・プルミエ・クリュ/Chablis Premier Cruのワインは、シャブリ/Chablisらしいバランスを体現しています。

 

 

  • レ・ゼピノット/ les Epinottesを取り巻く伝説は数多いですが、すべてに共通点があります。かならず「とげ」にまつわるものなのです!1429年から、« l’espinotte »と言われ、« épinette »という言葉を生み出したラテン語のspinaから来ています。« épinette »は、収穫作業者が使う先の尖った鋏のことです。形容詞の« spinal »は、脊椎や脊髄に触れるものを指しています。古いフランス語では、ハリネズミはespinar、棘をもつ植物の茂みはespinat、棘をもつ植物で覆われた場所はéspinaie でした。一つことが確実に言えます。雑草林が取り除かれ、ぶどうが植えられたこの場所に名前を付ける際に、昔の人々はとげや茨から着想を得たのでしょう

レ・リス/Les Lys

レ・リス/Les Lys

Prononciation - Chablis Premier Cru Les Lys    Prononciation - Chablis Premier Cru Les Lys

シャブリ・プルミエ・クリュ・レ・リス/Chablis Premier Cru Les Lys 

このクリマ/ Climat の名前の語源は、「境界« lisière »」を意味するラテン語のliciumから来ました。

 

代表的なクリマ/ Climatであるヴァイヨン/ Vaillonsは、レ・リス/C Les Lysを含む左岸の8つのクリマ/ Climatsを包含していますが、レ・リス/ Les Lysは集団から離れたいようにも見えます。北/北東向きで、丘が折り返す地点に落ち着き、ある種の岬のようなところに堂々と位置しています。風に向かって開けていて、一日の中で最も涼しい時間である朝の陽ざしを広く受けます。この自然の特徴により、レ・リス/ Les Lysは、格別に健全なテロワール/ terroirで、ぶどうがゆっくりと熟します。土壌は典型的なキンメリジャンの泥灰岩で、表土は、粘着性があり、小石が少ない粘土質です。

特徴,歴史と伝説

  • 向きが非常に特殊であるため、シャブリ・プルミエ・クリュ・レ・リス/Chablis Premier Cru Les Lysは、他に類を見ないものです。冷涼で生き生きとしたこのクリマ/ Climatは、ほどほどのミネラル感により強調される味わいの長さをワインに与えます。この場所では、ぶどう樹は熟すのに時間がかかり、驚くほどに豊かなワイン、美食向きのワインを生み出します。これは、完全に開くまでにわずかに時間を要します。2~3年後にはすでに、ミネラル感が見事に現れますが、7~10年、あるいはそれ以上、持ちこたえることができます。
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  • このクリマ/ Climatの名前は、はるか昔までさかのぼる必要はなく、19世紀に初めて出てきます。この場所に1267年からぶどうが植えられていたことがわかれば、これは驚きです! いずれにせよ、その名前は、「境界« lisière »」を意味するラテン語のliciumから来ているのでしょう。このクリマ/ Climatの上方には、「リスの小道 < chemin des lis >」があり、森の境界線に向かって、縫うように進んでいきます。